内科療法

一般的には外来でサラゾピリンもしくはペンタサを処方してもらい、自宅で服用して炎症を抑えます。それでも炎症が治まらない場合はプレドニンといったステロイド剤(副腎皮質ホルモン)も併用して利用します。それでも炎症が落ち着かない場合は免疫抑制剤を使用します。
ペンタサやサラゾピリンは2週から4週の投与で緩解導入率が60%位、ステロイドはだいたい60%から70%位の有効率です。さらに投与を続けるともう少し効果は上がってきます。但し、ペンタサやサラゾピリンは、重症例は対象にしていません。

一方、症状が重症な場合には入院して絶食をしながらプレドニンを投与する治療を行います。入院期間は症状によって異なりますが、通常1ヶ月〜3ヶ月程度です。

薬以外の治療法としては白血球除去療法があります。これは炎症の原因となる血液中の白血球を取り除いてしまうという治療法です。イメージとしては人工透析が近いです。

 

薬物療法
  • サラゾピリン
    • 元々慢性関節リウマチの薬としてスウェーデンで開発されたものですが、IBDに効いたので、今ではそちらが主流となりました。何故IBDに効くのかは、抗菌作用、抗炎症作用等の説がありますが結論は出ていません。現在はサラゾピリンを改良して副作用を抑えたペンタサが主流となっていますが、人によってはサラゾピリンの方が効果があるという人もおり、医師によってはこちらが処方されることもあるようです。
      副作用:頭痛、胃炎、精子減少、汗や尿が不自然な黄色になるなど
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  • ペンタサ
    • サラゾピリンを改良して、炎症を抑えるのに有効な成分となる5-ASAを腸で溶けるように工夫されています。サラゾピリンに比べ副作用が少ないという点から、IBD治療薬として一般的に使用されています。
      ペンタサを直接肛門から流し込み、より高い効果を得ようというペンタサ注腸もあります。口径薬のペンタサは直腸には効果が薄いのですが、ペンタサ注腸は直腸にペンタサが行き渡るので、直腸炎型にはより高い効果が望まれます。
      副作用:膨満感、発疹など
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  • ステロイド
    • 劇的に効果があること、安価であることから、サラゾピリンやペンタサで効果が無い場合にはステロイド剤が積極的に使われます。しかし高い効果が望める反面、副作用も強いことから、投与量には十分注意しなければなりません。大量投与で現われる副作用:抗炎症・免疫抑制(感染しやすくなる)、ムーンフェイス(顔がむくんだように膨らむ)、精神症状の不安定、糖尿病、胃潰瘍、中心性肥満など
    • 長期投与で現われる副作用:副腎機能低下、骨粗しょう症、高脂血症・高血圧、筋力低下・筋肉痛、白内障・緑内障など
    • 潰瘍性大腸炎の治療に使われるステロイド剤は代表的なものとして以下のものが挙げられます。
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    • リンデロン坐剤
      • 座薬です。直腸に留まり溶け出すことで、直腸炎型の炎症に有効です。しかし非常に硬い座薬なので、入れるのが困難な場合があります。どうしても困難な場合はキシロカインゼリーを一緒に処方してもらいましょう。キシロカインゼリーは潤滑剤として利用されている医薬品です。キシロカインゼリーを使用しても入らないと言う場合は、ドラッグストアなどで売られている使い捨てのゴム手袋を利用すると助かります。医師が触診の時につかうゴム手袋と同じようなもので、よりすべりが良くなり、入れるのが楽になります。
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    • ステロネマ・プレドネマ
      • 大腸に直接ステロイド剤を流し込む注腸剤です。肛門から細い管のようなもの入れ流し込むので、直腸炎、左側大腸炎には効果があります。細い管を入れる際は困難なのでリンデロン座剤と同じようにキシロカインゼリーを併用すると便利です。また、予め人肌に暖めておけば腸への刺激が少なくなり、入れたのにすぐにトイレに行きたくなり全部でてしまうという問題が減ります。出来る限り大腸に留めておく方が効果が高いので、寝る前に使用するといいかもしれません。寝る前に使用するのであればお風呂で温めるという手も使えます。
    • プレドニン
      • 口径薬です。外来では20〜30mgまで(病院や医師により異なります)の処方が限度として設けられ、その量でも炎症が治まらない場合には入院による治療となります。
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    • 免疫抑制剤
      • ペンタサやプレドニンの投与にも関わらず炎症の症状が改善されない難治性の場合には、薬の最終手段として免疫抑制剤が使用されます。免疫抑制剤は臓器移植の再に拒否反応を抑えるために利用されていた薬ですが、免疫を抑えれば炎症も治まるという理由で潰瘍性大腸炎にも利用されるようになりました。炎症の原因といわれている免疫を押さえ込むので、炎症が治まります。しかし、これも強い副作用があります。これが内科的治療の最後に使われる理由です。具体的に使用される薬はアザチオプリン(イムラン)、6-メルカプトプリン(ロイケリン)、シクロスポリン(サンディミュン)があります。
        免疫抑制剤は胎児が奇形を持って生まれてくる可能性があるので、男女ともに服薬中は子供を作ることはできません。また服薬を中止しても3ヶ月程度しないと完全に体内から薬が抜けきらないので、この期間も子供を作ることはできません。
        副作用:免疫力低下による感染症可能性の増加、肝機能障害、腎機能障害など
    入院による治療

    絶食
    基本的に水分以外は摂取できなくなります。アメ・ガムは可能な場合もあります。絶食期間は症状の回復度合いによって異なりますが、数週間を見ておくと良いでしょう。絶食中は高カロリーの点滴により栄養を体内に取り入れます。24時間点滴をすることになるので、就寝中点滴の管が煩わしくなりますが、一週間程度で慣れてきます。

    ステロイド静注療法
    首や鎖骨辺りから点滴を用いて血管の太い静脈へプレドニンを投与する治療方法です。プレドニンの量はその人の体重により異なります。一般的に40〜80mgのプレドニンが投与されます。症状が快方に向かうと徐々に5mg程度ずつ減量していき、最終的には点滴から経口薬に切り替わります。

    ステロイド動注療法
    静注療法の動脈版です。劇症の人や静注療法で効果がない場合に用いられます。

    ステロイドパルス療法
    多発性硬化症など他の病気の治療法で効果があったため注目されるようになりました。1日に500mg〜1000mg程度のプレドニンを3日間前後の短期間に渡り投与します。静注療法で効果がない場合に行われます。オックスフォード大でパルス療法の効果はそれほどないという結論も出ており、最近はあまり行われていません。

     

    白血球除去療法

    血管から血液を約1時間かけてゆっくり抜き取り、フィルターを通して血液中の白血球を除去して、再び体内に血液を戻しす治療法です。人工透析イメージすると分かりやすいでしょう。治療中は寝ているだけです。
    白血球は本来、細菌やウイルスの病原体を追い払うという大切な役割をもっています。ところがこの潰瘍性大腸炎を発症している患者さんの白血球は、逆に大腸を攻撃してしまうのです。そしてその白血球は大腸粘膜に多く集まっています。そこで、悪さをする白血球を除去して、病気のもとから治療していこうというのがこが白血球除去療法なのです。ステロイド治療と異なり、発熱などの一時的な副作用しかないのが最大の特徴です。
    白血球除去療法には以下の3種類があります。そのうち LCAP、GCAPは保険適用となっています。

    LCAP(leukocytapheresis):白血球除去・吸着療法
    極細のポリエステル繊維でできた不織布を充満した白血球除去器(セルソーバ)により白血球除去を行う方法です。流血中の顆粒球と単球を効率よく除去でき、リンパ球も60〜70%除去することができます。1.8リットルの血液を処理します。60〜80%の患者に効果があると言われています。週1回を限度として5週間を1クールとし、2クールを限度として保険請求できます。

    GCAP(granulocytapheresis):顆粒球除去・吸着療法
    酢酸セルロースビーズを充満した顆粒球・単球除去カラム(アダカラム)により白血球除去を行う方法です。主に流血中の顆粒球と単球2〜3リットルの血液を処理します。60〜80%の患者に効果があります。週1回を限度として5週間を1クールとし、2クールを限度として保険請求できます。

    遠心分離器を用いる白血球除去療法
    比重の違いを利用し白血球を除去する方法です。リンパ球は比較的多く除去できるものの、顆粒球の除去率は高いとは言えません。

    ※LCAPとGCAPはどちらが効果があるのかは、比較するのに十分なデータがそろっていないため分かりません。今後臨床試験を増やし、どのような違いがあるのか研究をしていくとのことです。