潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に炎症が生じ、潰瘍やびらん(ただれ)ができ、下痢や粘血便(血液や粘液、ウミなどが混じった便)が起こる病気です。これまでは、根本治療のない難病で、一度かかると一生治らない病気と考えられてきました。しかし、徐々にその病態が明らかになり、様々な治療法が開発され、いまでは難病と考えられなくなりました。

潰瘍性大腸炎の病因はいまだ不明ですが、最近、病態の本質に迫る研究も始まっており、原因が解明されれば根本治療の開発も期待されることでしょう。

なお、潰瘍性大腸炎は英語名でUCと約されて記載されることがあります。また、潰瘍性大腸炎は大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患のひとつとして炎症性腸疾患(IBD・Inflammatory Bowel Disease)とひとまとめに呼ばれることがあります。

大腸だけでなくその他の消化器官の粘膜に炎症が起こるクローン病もIBDの一つで、潰瘍性大腸炎よりも症状が重いと言われています。

 

原因

潰瘍性大腸炎がなぜ起こるのか、その原因はまだよく分かっていません。腸内に棲む細菌のバランスがくずれたことが、大腸の発症や症状の進行に関わっているのではないかという「細菌説」、リゾチームという白血球が出す酵素が原因ではないかという「粘膜溶解酵素説」、その他「ミルクアレルギー説」、「心理的要因説」などのさまざまな説が唱えられましたが、いずれも否定されています。

現在、有力視されているのが人間の免疫機構(体を外的から守ろうとする体内の防衛システム)が、体の一部である大腸粘膜を敵と認識して攻撃し、破壊しているという「免疫異常説」です。ただし、この免疫異常説も決定的なものではありません。炎症が起こっている腸管粘膜で免疫の仕組みが乱れていることは確かなのですが、そもそもなぜ乱れるかは、免疫異常説でも説明できないのです。

その他、この病気は北欧や米国の白人やユダヤ人に多いことから、食生活が関係している説や、ストレスが大きく関与している説などさまざまですが、結局はっきりした原因は分かっていないのが現状です。

 

人口

以前は非常に珍しい病気で1859年、イギリスで発見されたのが初めてといわれています。南北戦争時代のアメリカ合衆国でも報告がありました。日本では1929年に10例の報告があったのが最初です。  しかし、1980年代後半頃から急激に患者数が増え始めました。はっきりとした理由は分かりませんが、食生活が欧米化してきたことが原因ではないかという見方もあります。

患者さんの発症率に性別の差はなく、ほぼ1:1の割合です。発症年齢も若年層から高齢者まであらゆる年代に分布していますが、20代をピークに10代〜30代の層に多く分布しています。

 

病気でも・・・

潰瘍性大腸炎でも社会で活躍している人は沢山います。競艇選手やスキーのジャンプ選手、ボディービルダーや医者などがいます(安倍晋三首相も潰瘍性大腸炎ですが公務を全うしています)。

また、アメリカ第34代大統領のアイゼンハウアー(1890〜1969年)も潰瘍性大腸炎と同じくくりである炎症成長疾患のクローン病でした。1949年にクローン病にかかりましたが、1950年には北大西洋軍最高司令官に就任し、1953年には大統領に就任しています。就任中に2回の手術を受けていますが、りっぱに職務を果たし、1956年には再選されました。退任後、79歳でなくなりましたが、その原因はクローン病ではなく、心筋梗塞でした。

難病といわれている病気を患っていても、社会的な職務を十分に果たすことができる好例ではないでしょうか。