社会保障制度

潰瘍性大腸炎(およびクローン病)の患者の方は、症状により次のような社会保障制度を利用することができます。
  • 特定疾患医療受給者証(潰瘍性大腸炎と診断された患者を対象)
  • 市町村からの御見舞金(潰瘍性大腸炎と診断された患者を対象)
  • 傷病手当金(勤務している会社の健康保険に加入している患者を対象)
  • 身体障害者手帳(小腸機能障害・直腸膀機能障害になった患者を対象)
  • 障害年金(人工肛門・腹壁ろう孔(腸から腹部に穴が開くこと)になった患者を対象)

 

特定疾患医療受給者証

 

難病に関する医療の確立、普及を図るとともに、患者の医療費の負担軽減を図ることを目的として制定された制度です。特定疾患医療受給者証を持っていると、所得に応じて決められた自己負担限度額を上まわった医療費は公費で助成されるようになります。自己負担限度額は以下の通りです。

階  層  区  分
対象者別の一部自己負担の月額限度額
入 院
外来等
生計中心者が
患者本人の場合
A
生計中心者の市町村民税が非課税の場合
0円
0円
0円
B
生計中心者の前年の所得税が非課税の場合
4,500円
2,250円
対象患者が生計中心者であるときは、左欄により算出した額の1/2に該当す
る額をもって自己負担限度額とする。
C
生計中心者の前年の所得税課税年額が10,000円以下の場合
6,900円
3,450円
D
生計中心者の前年の所得税課税年額が10,001円以上30,000円以下の場合
8,500円
4,250円
E
生計中心者の前年の所得税課税年額が30,001円以上80,000円以下の場合
11,000円
5,500円
F
生計中心者の前年の所得税課税年額が80,001円以上140,000円以下の場合
18,700円
9,350円
G
生計中心者の前年の所得税課税年額が140,001円以上の場合
23,100円
11,550円


※1医療機関につき生じる自己負担限度額です。
※訪問看護、院外処方による調剤薬局での薬剤費については一部負担は生じません。
※診断書作成費用や入院時における個室等の差額ベッド代は公費負担の範囲には入りません。自己負担となります。

申請方法は以下の通りです。

  1. 自分の住む地域にある保健所に申請用、診断書の書類を取りに行く
  2. 診断書を主治医に提出し必要事項を記入してもらう
  3. 申請書に必要事項を記入する
  4. 診断書と申請書を持って保健所に申請に行く(その他必要書類があるので事前に保健所等に確認してください)
  5. 申請してから数ヵ月後(1〜2ヶ月程度)すると受給者証が届く
  6. 通っている病院に受給者証を提示し、手続きをしてもらう

以上で手続きが完了します。申請時から公費助成が適用されます。適用範囲で多く支払っていた分については払い戻ししてもらえるので、申請後の領収書はなくさず取っておきましょう。

ただし、申請しても審査の結果、軽快者となってしまう場合があります。この場合は公費助成が受けられませんので注意してください。しかし軽快者の場合は再燃時になった時点からさかのぼって公費が受けられるようになりますので、軽快者だからといって利点が全くないということはありません(受給者証がないと申請時からしか公費助成の対象になりません)。

受給者証は9月30日まで有効で、毎回申請が必要になります。忘れずに申請を行ってください。初回以後の申請方法は上記の方法と同様です。

 

市区町村からの御見舞金

 

お住まいの自治体によっては難病に認定された方に御見舞金を支給してくれる場合があります。特定疾患医療受給者証を持っていれば支給が受けられ、支給額は数千円という自治体が多いようです。

支給額や申請方法、認定基準は自治体によって異なりますので、お住まいの市役所の福祉課などに問い合わせてみましょう。最近では御見舞金についてをホームページで説明している自治体もあります。

 

傷病手当金

 

会社に勤務しており、病気によって就労が困難になった場合に、休暇したぶんの給与の6割程度を保証する制度です。申請方法は以下の通りです。

  1. 勤務している会社の窓口となっている部署(総務など)から必要書類をもらう
  2. 書類を医師に書いてもらう
  3. 書類を会社の窓口に提出する

以上で手続きが完了します。申請後、審査して支給が決定するとその額が支払われます。

 

身体障害者手帳

 

大腸全摘出により人工肛門を増設すると、ケースによっては身体障害者認定を受けることができることができます。身体障害者に認定されるには永久人工肛門の場合です。そのため、潰瘍性大腸炎で大腸を摘出して人工肛門を増設しても一時的ということで認定を受けることは困難です。しかし、炎症が酷く人工肛門を閉鎖する見通しが立たない場合には、身体障害者として認定される場合があります。主治医とよく相談しましょう。

申請手順は以下の通りです。

  1. お住まいの市役所福祉課等で申請に必要な身体障害者手帳交付申請書、指定医師の診断書・意見書を貰う
  2. 指定医師に診断書・意見書を書いてもらう
    書類の医師は自治体が認めた指定医師に書いてもらう必要があります。指定医師が誰かは書類を貰う際に確認することができます。大きな病院では医師も対応になれているので問題ないと思いますが、心配な場合は指定医師に書いてもらうよう事前にお願いしましょう。
  3. 書類と指定サイズの写真(交付される手帳に貼り付ける為のもの)を市役所福祉課等に持っていき申請する
  4. 通常1ヶ月程度で認定され、市役所等から連絡が入るので手帳を受け取りに行く


以上が大まかな流れです。認定される場合、通常は障害者4級として認定されます。障害者4級に認定されると次のような福祉サービス等を受けることができるようになります。

  1. ストーマ(人工肛門)装具購入費の助成
    • 人工肛門用装具購入費の助成として1カ月8,858円を限度として支給する。手続きは市役所等の福祉課で行う。所得に応じて限度額が少なくなる場合があります。
  2. 交通費、入場料の割引
    • 有料道路通行料金
      • 障害者手帳に予め自動車登録番号の記載及び割引証の交付を受けておくと、料金所において割引証提示で料金が5割引になる
    • バス料金
      • 運営会社により異なるが障害者手帳の提示により無料もしくは5割引になる
    • タクシー料金
      • 運営会社により異なるが、多くの場合障害者手帳の提示により1割引になる
    • JR運賃
      • 片道100kmを超える移動の場合、障害者手帳の提示により運賃が5割引になる
    • 国内航空運賃
      • 市役所等で予め証明を受けていれば、国内線に限り障害者手帳の提示により運賃が25%程度割引になる
    • 入場料
      • 障害者手帳の提示により、美術館、博物館、テーマパーク等で入場料が割引になったり無料になることがある。また付き添いの方も割引になることがある。因みにUSJでは割引となるがディズニーランドでは割引なし。
  3. 税金の免減
    • 障害者控除
      • 確定申告または給与申告の際に障害者控除の申告をすると、住民税及び所得税から控除をうけることができる。数万円という大きな額が戻ってくるので忘れずに。
    • 自動車税の控除
      • 自動車税、自動車取得税・重量税の免除を受けられることがある。ただし自治体によっては障害者4級が対象になっていないこともり、その場合は免除を受けられない。
    • 医療費控除
      • ストーマ装具の購入費用は、医師の証明書及び領収書があれば、確定申告により所得税から医療費控除が受けられる。

 

障害年金制度

 

発病時に厚生年金または共済年金に加入していて人工肛門になった患者を対象に傷害年金が支給されます。詳しくはお近くの社会保険事務所にお問い合わせください。手続きは非常に面倒で、認定基準も厳しいようですが、認定が降りる月額6万円程度の傷害年金が支給されるようになります。