短腸症候群となった場合、一定の基準を満たすと小腸機能障害の認定を受けられる。その基準は厚生労働省が定めており、以下の通り。
(1) 等級表1級に該当する障害は、次のいずれかに該当し、かつ、栄養維持が困難となるため、推定エネルギー必要量の60%以上を常時中心静脈栄養法で行う必要のあるものをいう。
a 疾患等により小腸が切除され、残存空・回腸が手術時、75cm未満(ただし乳幼児期は30cm未満)になったもの
b 小腸疾患により永続的に小腸機能の大部分を喪失しているもの
(2) 等級表3級に該当する障害は、次のいずれかに該当し、かつ、栄養維持が困難となるため、推定エネルギー必要量の30%以上を常時中心静脈栄養法で行う必要のあるものをいう。
a 疾患等により小腸が切除され、残存空・回腸が手術時、75cm以上150cm未満(ただし乳幼児期は30cm以上75cm未満)になったもの
b 小腸疾患により永続的に小腸機能の一部を喪失しているもの
(3) 等級表4級に該当する障害は、小腸切除または小腸疾患により永続的に小腸機能の著しい低下があり、かつ、通常の経口による栄養摂取では栄養維持が困難となるため、随時中心静脈栄養法又は経腸栄養法で行う必要があるものをいう。
出典
小腸の機能障害の身体障害認定基準における推定エネルギー必要量の改定について
厚生労働省(平成22年3月18日)(障発0318第6号)
すなわち、上記の基準により、障害者として認定される場合には1級、3級、4級のいずれかに該当することになる。ここで注目したいのは2級がないことだ。障害者1級または2級の場合、心身障害者医療費助成制度により医療費の助成を受けられるが、3級または4級の場合は、助成がなくなる。小腸機能障害の場合、少しでも1級の基準に該当しないと、3級以下となる。もちろん3級以下でも所得税をはじめとした税金の減免等社会保障の対象となるので、認定を受けるメリットはある。
なお小腸機能障害3級の場合は、その他の部位の障害との指数合計で上位の等級に認定されるケースがある。
1 障害等級の認定方法
(1) 2つ以上の障害が重複する場合の障害等級は、重複する障害の合計指数に応じて、次により認定する。
合計指数:認定等級
18以上:1級
11~17:2級
7~10:3級
4~6 :4級
2~3 :5級
1:6級(2) 合計指数の算定方法
ア 合計指数は、次の等級別指数表により各々の障害の該当する等級の指数を合計したものとする。
障害等級 :指数
1級 :18
2級 :11
3級 :7
4級 : 4
5級 :2
6級 :1
7級 : 0.5出典
「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」の一部改正について
厚生労働省(平成26年1月21日)(障発0121第1号)
例えば小腸機能障害3級(指数7)と大腸機能障害4級(指数4)の場合、合計で11となり、2級に該当することになる。
いずれの等級も認定を受けるには医師に診断書・意見書を作成してもらい、お住いの市区町村に申請が必要となる。認定には2、3カ月かかるので、該当しそうであれば、速やかに手続きを行った方がよい。